雑誌を読んでいると人の脚の間に入ってくるし、ごろごろ寝転がってると飛びついて遊べとせがむ。
そんな年下の男の子を恋愛対象として見ないというのは別段おかしい事でもないだろう。




「あんな…ワイ、の事が好きやねん」
「は」

満開の笑みでそんな事を言われても、どうリアクションしていいか分からない。
とりあえず私の膝の上に乗るのを止めさせるべきだろうか。


「なぁ、はワイの事好き?」
「え、いや……好きだけど…」
「じゃあワイと付き合って!」

どうしよう。どうしたらいいんだろう。
とりあえず抱きつくのを止めさせるべきだろうか。


「……いや、金ちゃんの好きと私の好きは違うものだから」
「好きなんは一緒とちゃうん?」
「えーと……金ちゃん、ライクとか…英語分かる?」
「英語は嫌いやっ」

説明のしようが無い。打つ手無し。


「ワイな、の優しいとこと、あったかいとこと、やらかいとこと、ええ匂いするとこと、綺麗なとこと……みんな好きや!」
「そ、そっか」

若干セクハラ紛いの発言もあったが、彼自身に悪気は無いはずだ。うん。
これがオサムちゃんだったら間違いなくイチイチマルだけど。


「だから、ワイのお嫁さんになってや!絶対幸せにすんで!」
「なっ」

どんどん発言が過激になっていく。
さすがに恥ずかしくなって、金ちゃんから顔を逸らす。

すると、頬に彼の温かい手が伸びる。



「そっぽ向かんといて。ワイ…の顔、ずっと見ときたいねん」



誰だこの純粋な13歳にこんな言葉を吹き込んだのは。
恐らく毒草マニアか無我マニア辺りだ。




今ここにいない2人に恨み辛みを心中で吐きながら、とりあえず私は金ちゃんをなだめる様に抱き締めた。
これだけで喜ぶ辺りまだ幸いだ。










どうしても欲しいもの
(いっぱいのたこ焼きと、大好きな)