「暇ー暇ー暇ー暇ー」




「暇だよねーってば!これそこのフジコ!私をかまえ!!」
「嫌」
「んまっ!この子はどういう教育を受けているのかしら!」
に言われたくないよ。ほら、次スマッシュの番だよ」
「へいへい。どーせだから籠じゃなくてそこでサボってる2年にブチ当てようかしらね」
「新学期早々問題起こさないの。ただでさえ問題児なんだから」

フジコってば相変わらず失礼だぜ!

「事実を言ったまでだよ」

読まれてる!?
さすがフジコ!そこに痺れる憧れるぅ!





スマッシュ練習を一通り終えた私はコートのはじっこで一人棒倒しをしていた
すると、視線の先にたまらなくおもしろそうな物を見つけた

「あ、リョマ子と荒井様がグラウンドに走りに行った」
「あの一年がスマッシュ練習でボール横取りしたんだにゃ」

気が付いたら菊丸が隣にいた
いつの間に!やるわね!

「そんで荒井が絡んだみたい」
「なるほどねー。荒井様上下関係に厳しいから」

「なんだい?」
「どーして荒井の事を『荒井様』って呼ぶんだにゃ?」
「尊敬と見下しとカロチンとポリフェノール等を含んだ故に『荒井様』となったのだよ」
「難しいにゃ」

当然だぃ。全く意味が無いしな!








そして数日経ったある日


「あーあ、今日も練習かぁ。めんどくせ。ねぇフジコ、これから五月病になる予定だから休んでいい?
万年五月病が何言ってるのさ。今日は手塚と大石が来るまで自主練だから乱打でもしてようよ」
「うえー…いっそのことウォームアップ兼ねて試合やんない?」
「いいの?ラブゲームで勝たせて貰うけど」
「なめんなフジコ!私だってラブで勝つ自信あるかんね!」
「………ねぇ、あれ……」
「何かあった?」

フジコが指差したその先には、またもや昨日のような光景

「ラケット持たずに部活にでるたぁいい度胸じゃねーか!部長や副部長がいないからってサボってんのか?」


「あり、また荒井様が絡んでる、昨日の事まだ根に持ってんのかね」

荒井様、ねちっこいとこが無ければ良い子なんだけどなぁ。



「これに懲りて二度と出しゃばろうなんて思うんじゃねぇぞ。そうすれば大事なラケットも3本とも出てくるかもな!

わぁ。なんてテンプレ的な悪役。完全に絶滅種じゃないですかあそこまでの悪役。


「フジコ、試合後回しね」
「試合見に行く?」
「いや、ラケット探しに行く。昨日のスマッシュ練習見たら勝敗は大体わかるからね」
「僕も一緒に行こうか?」
「フジコは試合見てれば?ランキング戦で追い抜かれないようにさ」

そんじゃ、行ってきまーす。と言って私はその場を後にした。







「あったー!」

ラケット発見!

棚の上にのっかってました。
うぅむ、リョマ子の弱点を突いた見事な隠し技!
もしかしたらテニスよりも才能あるんじゃねーの?



「さて、さっさとラケット渡してあげようかしらね」

と部室を出た途端、ザワザワと外の声が大きくなった。


「あれ、荒井様もう負けたの!?」
「うん。まだ1ゲームしかやってないけどねん」
「しょーがないなぁ。おーい!荒井様ー!!!」

どでかい声で名前を呼んでやると、荒井様は目を丸くした。

「このラケット使えー!リョマ子のラケットだぞー!!どりゃ!」


ゴッ


「あ」

投げたラケットが荒井様の顔面に命中
荒井様再起不能

あわー!やってもうたー!!

「あわわわわ!!ごめんよ荒井様!決してわざとじゃないんだよ!ちょっと倒れ方おもしろいから!おもしろいから起きてー!!」
「………何やってんだか」




この後、皆グラウンド10周を言い渡されましたが、私とリョマ子だけは30周でした、まる。