新入生がやっと学校に慣れ自分の身の振り方を粗方決定する5月上旬


青学テニス部月の初めの恒例行事、ランキング戦が始まります。


と言ってもそれは男テニだけで、女テニには関係ありません。


ミクスドという微妙な位置にいる私はと言うと






「ゲームセット・ウォンバイ、6−2!」
「あー悔しい!2ゲームも取られたー!!」
「よく言うよ。私今年はシングルス全国狙ってるってのに」
「ダブルスはー?ねぇねぇ、私とのダブルスはー?」
「はいはい、わかってますよ。ダブルスも全国狙います!」
「イエーイ!そうこなくっちゃー!!」

景気づけにハイタッチ

「にしても、は今年もシングルスやらないんだね。絶対優勝するのに」
「やっぱ2人でやった方が楽しいじゃん、テニスって」
「あたしらなんかコンビネーションバラバラだけどねー」
「そりゃ君が悪いんだよ大崎」
「あんたが勝手な事するからでしょ」


ミクスド選手の私は、女テニのNo.3までの人と総当たり戦で試合をします
それで一位になった人がミクスドの選手になると言うわけです
今回は私が一位。なんとかミクスドのメンバーに残りました!




「男子の方はどうなってるかな?」
「でも大体順当に来そうだよね。手塚君にに大石君、不二君でしょ?あと乾君と菊丸君と桃、海堂と……」
「それにタカさんだね。絶対上がって来るよ。あとは……」
「あとは?」
「ま、見てりゃわかるって。結果張り出されてるんでしょ?見に行こう」







「や、薫ちゃん!ちゃんが遊びに来たったよー」
「………うっす」
「どお、ランキング残れそう?Dブロックだっけ?」
「6−4!?うっそ……海堂が1年に!?」
「あー、やられちゃいましたか」

ギロッと睨んでくる薫ちゃん
やっぱり相当ショックだったんだろうなぁ

「だーいじょうぶ大丈夫!乾に勝ちゃ2位でランキング残れるんだから!」
「………乾先輩が越前に負けると思ってるんスか?」
「薫ちゃんに勝ったリョマ子が乾に負けると思ってるんスか?」

真似っこ。

「実際さー、そんな差は無いと思うのよ。薫ちゃんと乾。だからきっとリョマ子1位抜けするよ」
「アンタねー、それ根拠無いっしょ?」
「失礼ですわよそこの大崎!ちゃんが勝つと言えば勝つし負けると言えば負けるの」
「うっわ、超俺様」
「まあそんな訳だから乾に勝てば良い訳よ。おっけー?」

私の問いに薫ちゃんは『フシュー』という呼吸音のみで返事した。

「もーしょーがないなぁ。そんな可愛い後輩の薫ちゃんにはこれをあげようじゃないか」

ポン、と手の平にそれを置いてやる

「………何なんスか、これ」
「企業秘密」
「て言うかマジで何なのこれ!?ギャー!超キモイ!!動いてるし!」

薫ちゃんの手の平でもにもにげるげると蠢く物体X

甘くて酸っぱい物体X

それは触れ合いの心物体X


「これを飲み物に混ぜたりしたら一発でコロリ☆」
「コロリじゃないでしょ!アンタ後輩に何一服盛らせようとしてんの!」

折角後輩のためを思って渡してあげたのに!!

ギャーギャー言ってる間に、試合は終わっていたようだ



「………Dブロック越前リョーマ、7−5ッス」
「ありゃ、リョマ子」
「この子が噂の越前リョマ子君?」
「越前リョーマ」
「そうそう。この子が越前リョマ子。可愛いっしょ!」

不名誉なあだ名は未だ消えない。


「ほれ薫ちゃん!言った通りっしょ。頑張って乾に勝つんだ!眼鏡カチ割っちゃれ!!カチコーンと行け!」
「そう簡単には勝たせないさ」

リョマ子に引き続き乾まで登場

「ふーんだ!こっちには物体Xがあるんだかんね!」
物体X?……興味深いな。後で見せて貰おうか」
「へへへへへ、乾にゃ作れんよ。これは」




そして、薫ちゃんは乾を7−5で敗りました




こうして5月のランキング戦は終わったのです。