あれから三日が経ちました
今日はウキウキサンディ♪
私は部活で鬱々サンディ♪
そらアンニュイな気分にもなりますよ!
「おっはー」
死語だよなやっぱ
しんごママは私が母親になるまでやってて欲しかったのに!
そして楽をするのだ!!
「先輩……どうしたんすかその右手」
リョマ子が私の右手を見て言った
隣にはもはやセットとなりつつある桃がいる
ちなみに今の私の右手、ほーたいぐるぐる巻きです
「あー、ちょっとね」
「もしかして跡部さんにやられたんすか!?」
「違う違う」
「じゃあ誰に?」
説明すんのめんどいなー
「えっとね、まずあの後跡部にカルボナーラ奢って貰ったわけよ」
あれはうまかったなー
今まで食べたカルボナーラの中で一番と言っても過言ではないわね。一皿二千円もすんの!さすが銀座。
土地の値段も高ければ物も高いわね
「それからケータイ番号交換してー」
「教えたんすか、その人に」
「うん。おせーた。奢ってもらったし」
「今すぐ番号とアドレス違うものに代えて下さい」
「なして!?」
めんどいから嫌だよ!ドコモだよ!
「まあそれからじゃあねーと別れましてですね、したら怖いお兄さんにからまれたのですよ」
「その人に!?」
「いやいや。おにーさんはさんの必殺技である瞬間滅殺烈風南斗朱雀極悪拳でたちどころに撃破しましたよ」
「何スか、その必殺技は」
「今考えた」
技名なんて考えつかなかったよ!
て言うかただの回し蹴りなんだけどね
ちょっとかっこつけたっていいじゃないかー!!
「そして撃破していざ帰ろうと言う時におベンツにぶつかって吹っ飛んでトリプルアクセル決めて着地しようと思ったら失敗して手首捻ったの」
「「待て」」
二人して!?
何がおかしいの?おベンツ?
銀座なんだからおベンツの一つや二つ走ってますのことよ!?
「そんなアホな事で怪我したんすか!?つーか他の部位は!?」
「アホな事とは何さ!ちょっと着地失敗したのはかっこわるいけどさぁ!」
「そういう問題じゃないッス」
じゃあどう言う問題なのよさ!
「まあそう言うわけで捻ったわけですよ。さーて部活部活」
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!その手で部活するつもりっすか!?」
「部活スルヨ!ワタシボール打ツヨ!ワタシ利キ手左ダーヨ!」
「あれ、そうだったんすか」
「両方使えるけど左の方が良いのですよ」
右手で打つとボールがショボくなる上に変な回転がかかって大変なのだよ!
弱い人相手なら右手でも大丈夫だけどさー
リョマ子ほど上手くは使えないよ
「さー始めましょ!まずは軽く準備運動……」
「駄目だ」
「んぉわ!?」
いきなり背後に手塚が!!
何時も通り腕組みして偉そうにふんぞり返っている
「なんだよー、大丈夫だってば!右手使わないし!!」
「走るだけで手には負荷が掛かる。悪化したらどうする」
「大丈夫だって!いけるいける」
「治るのにはどれくらいかかるんだ?」
「だから大丈夫」
「何日かかると聞いている」
有無を言わさず答えろと言う訳ですか
多分いま私の顔ものすごくふてくされた顔だと思う
つーかわざとそう言う顔をしてる
「………医者の診断だと二週間」
「ならお前はこの先二週間マネージャーと筋トレだ。草試合であろうともテニスをすることは許さん」
「えー!?やだやだ!絶対やだ!!」
「部長命令だ。破った場合はそれ相応のペナルティを与える。場合によっては退部だ」
「なっ!横暴だよそれ!!」
「何とでも言え。お前の手が悪化する方が重大だ」
「今度は都大会だよ!?私の力はいらないって言うのかい!」
「決勝トーナメントまでには間に合うだろう。それに都大会で無理して関東大会に出場出来なかったらどうする」
「……………」
このさんが言いくるめられてしまった………
不覚!!
まあ手塚の言う事も一理あるので今日くらいはおとなしくしてますか
ぱこーん
ぱこぱこーん
ぱこーん
………暇だわ
散歩でもしてくるかな
たりらりらーんと校舎内を歩き回っていると、家庭科室からおもしろそうなオーラが漂ってきた。
ドアを少しだけ開けて覗いてみると、乾が割烹着を着てミキサーとにらめっこをしていた。
乾が無駄に細長いから割烹着の丈が足りてなくてつんつるてんだ。だがしかし妙に似合う。
「あろはー。乾、何やってんの?」
「か」
近くで見ると、ミキサーの他にも色んな物が転がっている
その中で幾つか取り分けられていた
ピーマン、キャベツ、ほうれん草、小松菜、レタス、オクラ、青しそ………??
「この緑の野菜達は一体何?」
「野菜汁を作ろうと思ってな」
「野菜汁?」
「野菜をそのままミキサーで合わせるんだ」
「それでこの野菜を使うの?」
「ああ。だが何かが足りない気がしてな………何か無いだろうか……」
「そうだねぇ……やっぱ緑にこだわるなら緑の野菜の方がいいよね。したらパセリとかセロリ?」
「それだ!」
「んぉ!?」
乾が珍しくでかい声出したからびびっちまったじゃねぇかい!
「そうか……パセリにセロリ…」
「あとは栄養価を上げて飲み口爽やかにするならはちみつレモンかなー?」
「生姜なんかもいいかもしれないな」
「よし、いっその事全部混ぜてミキシングだー!」
取り敢えず思いついただけの物をミキサーに放り込んで蓋してスイッチオン
ごががががが、と言う嫌な感じの音が数秒して、それからはモーターの音しかしなかった
「これでどうだろう」
「どんなもんかなー?」
ぱか、と蓋を開けると、もの凄い異臭がした
むわわわわん、と立ちこめる不思議なにほひ
「うわー!これめっちゃ臭っ!乾、蓋!臭い物にフタ!!」
「いや、味見がまだだ」
「飲むの!?」
乾は大きめのスプーンで一杯そのグロテスクな液体をすくい、口に含んだ
その後うっ、とうめき声がする
「乾!乾!!」
「な……なかなかの味だ…だがこのままでは………」
「何がいけないのですか乾軍曹!!」
「飲み口が……」
「じゃあ水で!水で薄めるのです!!」
そして出来上がった物体は水で薄まって更に嫌な味に
当の乾はなんだか満足そうです
「でさ、作ったはいいけどこれどうすんの?」
「これから練習をするんだがそのペナルティーにしようと思っている」
「………え?」
「よかったな。お前は怪我をしてるから免れるぞ」
ふふふ、と怖い笑みを浮かべてそう言いなさった
思わず脱走
「ただいまー」
のそのそとコートに戻ると、桃がベンチで休憩していた
「何処行ってたんスか?」
「家庭科室に乾にちょっかい出しに行って来た」
「乾先輩に?」
「うん。なんか緑の野菜をミキシングって感じだった」
「???」
桃はよくわからないと言った感じで頭に?をたくさん浮かべた
「まあ頑張りぃな。私は無関係だからサ!」
「訳わかんないっすよ」
「その内分かるから、嫌でも……」
誰が飲むのか、想像するだけで鳥肌もんです
「つーかまた暇になっちゃったわー」
「マネの仕事も大体一年がやっちゃいますからね」
「よし、ちょっくら偵察行ってくるわ」
「……は?」
どうやら桃は難聴のようだ。かわいそーに
と言うわけでもう一回言ってみる
「偵察。スパイ。こそ泥。んじゃ行ってきまー……」
「偵察なんていきなりで行けるもんじゃないっすよ!つーか何なんすかそのコンビニ行くような軽さは!」
「大丈夫大丈夫。こっそりもっそりうっかりちゃっかり行くから」
「訳わかんないっすよ」
個人的にはもう脳内で完結してるんだけどなー
「でもさー、私が今出来ることと言ったら偵察とオペレーションくらいじゃない?」
「オペレーションは要らないっす。つーか誰のどこを手術する気なんすか!」
「手塚の顔の筋肉とか」
真顔でそう答えると、桃がぶっと吹き出した
手塚にばれたらグラウンドぐるぐる走らされるぞー
いや、でもさすがの手塚も顔の筋肉手術したら笑うよね。うへへって
「ちょっとは役立ちたいんだって。だから行って来ますわ」
「どうせ先輩のことだから駄目っつっても行くんでしょ?」
「わかってんじゃん」
「わかりました。手塚部長には俺から言っておくっす」
「サンキュー桃!持つべき物は頼れる後輩だね!」
こうして私は他校へ偵察に行くことにしました