都大会優勝決定戦、私達の相手は銀華中だったんだけど、お腹が痛いんで棄権しました
きっとフジコが一服盛ったんだと思います
「僕は何もしてないよ」
「ちゃん」
「あ、キヨ!どう?試合の方は」
「相手が途中で棄権負け。相手チーム乗せたタクシーが事故ったらしいよ」
「不動峰中が!?」
おあー、マジですか!
きっとフジコが事前にタクシーをいじったんだと
「だから僕は何もしてないって」
「で、どーよあっくんの方は」
「相変わらずだよ。気に入らなかったら殴って不動峰には喧嘩売って」
「うわぉ、物騒じゃねぇ」
「でも山吹の奴らが全員そうって訳じゃないからね!」
「わかってるわかってる!それに部長とかなんて何の記憶にも残ってないからね!」
もうモザイクとかがかかっちゃっておぼろげだよ!エヘ☆
「でもあっくんはほっとけないねぇ」
「まだ試合まで時間あるし、うち来る?」
「行く行く!!」
「駄目っす!!」
「うぉわ!?」
珍しくリョマ子が大声出すもんだからびっくりしたよ!
「ど、どうしたのリョマ子よ、プリチーなお顔が台無しだよ?」
「先輩一人でどっか行くのは禁止っす!」
「大丈夫!問題起こす為に行く訳じゃないから」
「今までは問題起こすために出歩いてたんすか?」
「あ……えっと………それは言葉のあやよ!!」
それでも変わらず私を睨み続けるリョマ子
睨んだって可愛がってなんかやらんかんね!
ちくしょー!私よか可愛いぜ!!
「まあまあ、越前君だっけ?君も一緒に来ればいいじゃない」
キヨがそう言うと、リョマ子の視線はキヨに移った
その形相、威嚇している猫のよう
あ、そーだった。リョマ子、前キヨに身長のこと言われたんだっけ(8話参照)
これはやばい。リョマ子確実に怒ってるよこれ!!
「ほら、キヨもこう言ってることだし、お邪魔しようよ!偵察偵察!」
「……………っす」
リョマ子がちっちゃく頷くと、私はリョマ子を引っ張ってキヨと一緒に歩き出した
「あれが部長の南だよ」
「ミナミねぇ。何か聞いたことが有るような無いような」
やっぱ部長は印象薄い
そのミナミ君と隣で喋ってるのはペア相手のヒガシなんだって
ぜんっぜんわかんねぇや。あはは
てか山吹って目立つ奴とそうでない奴がはっきりしてるよなぁ
頭で植物栽培してるのとかもいるし
ぼふっ
「………ん?」
何かが背中にぶつかった
振り向いてみると、小さな男の子が私にぶつかっていた
ヘアバンドみたいので目隠しされていて、ぶつかってあわあわとしている
背丈はリョマ子と同じくらいかそれより少し小さいくらい?
ちっさ!可愛っ!!
「壇君、またずれてるよ」
キヨがちっちゃい子のヘアバンドを取って、手に乗せた
「この子誰?」
「うちのマネージャーの壇太一。1年だよ」
「へぇ、マネージャーかぁ。初めまして!」
「あ、初めましてです!」
「壇君、この人は青学3年のちゃん」
「青学ですか!?」
「うんそう。青学。でこっちは越前リョマ子」
いつも通りむすっとした顔で、自分よりちょっと小さい壇君を見下ろしている
よかったねリョマ子!自分よりちっちゃい子がいて!!
「壇君、亜久津見なかった?」
「亜久津先輩ですか?さっきどっかにふらっと出かけていきました」
ヘアバンドを被り直しながら、あっくんが行った方を指さした
「山吹はいっぱい良い先輩がいるだろうけどあんな先輩みたいになっちゃダメだよ?」
「はい!亜久津先輩はとってもいい人ですっ!!」
「ねぇ、今のセリフおかしくね?」
「明らかにおかしいっすね」
私の問いに、キヨとリョマ子は大きく頷いた
「なんかさ、今の会話って」
「Chiken or Beaf?」
「Pork!」
「みたいに噛み合ってなかったよね」
「もっと他の例えは無いんすか」
結構良い例えだと思ったんだけどなぁ
「亜久津先輩はとってもいい人なんですっ!みんなわかってないだけなんです!!」
「あっくんがいい人な訳無いよ!いい人は他校に堂々と押し入ってロッカー漁ったりそこの生徒傷つけたりなんかしないよ」
「それ、ちゃんにも全部当てはまるよね」
「あたしはステンレスのドアぶつけただけだもん」
「十分な暴力っすよ、それ」
うぬぅ、みんなして虐めやがって!
あれは不可抗力だもん!慣性の法則とかが悪いんだもん!!
「でもあっくん、私抱えて逃げてくれたんだよねぇ」
「いい人ですっ!」
うん、確かにそこはいい人だ
「まあ、大体不良は根はいい人ばっかりだもんね」
「根が腐ってるから不良になるんじゃないっすか?」
「違うよ、いい人だっているよ」
土砂降りの雨の中、私は彼を見つけたの
「お前、捨てられたのか?俺と同じだな……よし、今日からお前の名前はショウだ。うち来いよ。ミルク飲ませてやる」
山田君……本当はとても優しい人なのね………
「ほら、不良でも悪い人ばっかりじゃないんだよ」
「明らかにノリが昭和だよね」
「しかも山田って誰っすか」
ええい!ツッコミは一人でよか!よってたかって攻撃か!ボケ一人か!
「まもなく決勝戦、青春学園対、山吹学園中の試合を始めます。両校の選手はオーダー用紙を提出して下さい」
「試合だ」
「結局あっくんには会えなかったねぇ」
「………ま、試合が始まったら嫌でも会うんじゃないっすか」
うん、まあ、そうなんだけどね
………試合であっくんと当たるのかなぁ。そうだったらおもしろいなぁ
「明らかにからかう気満々じゃない?それ」