「あなた達、テニス部ですかぁ？」



これでこのらしくない微妙に猫かぶりなセリフ、６回目です









「何処の中学なんですか？」
「え？名土狩学園だけど………」
「栃木の人ですか？関東大会まで来るって事はとっても強いんですね」
「そうかなぁ？」
「ねぇねぇ、抽選会の時間までまだ暫く時間あるからちょっと、テニス教えてくれません？」










「弱っ…これで１２人目かぁ……」

ベンチに座ってポカリを飲みつつ、ちょっと休憩

えっと、今の状況を説明させて頂くと今日行われるの関東大会の抽選会には部長と副部長が参加してるんです
つまりそこの学校の中ではかなり強い方って事ですよ
そこで私は考えた

『片っ端から勝負を申し込んで自分の実力をアップさせよう大作戦』


と言う手塚にばれたら八つ裂きにされた後今晩の味噌汁のダシにされそうな計画を実行しているわけです
そのまんまとか言うな。ひねったらわかんないだろが

それで今のな……な………ナポレオン？菜っぱ？な、な、ナン？
まあとにかくなんとか中学の部長と副部長を倒してこれで６校制覇

「えーと……な、なの付く中学はー………これかな？」

名簿の中から『名土狩学園』と書かれた部分に横線を引いた

「菜っぱだかナッツだか知らないけど読めない漢字を学校名にすんなってのなぁ」
「それはお前が勉強不足だからじゃねぇのか、アーン？」
「おわっ！」

後ろから跡部が顔を出してきた
私の持っていたポカリを取り上げ、勝手に飲んでやがる
金払え！損害賠償だ！営業妨害だ！

「何でこんなとこにいんの？選考会は？」
「終わったよ」
「いつの間に！？」

そう言えばなんかちらほらと人が出てきてるよ！！

「選考会で謎の女が片っ端から勝負申し込んでボコボコにしまくってるって話を聞いてな。まさかとは思ったが」
「あ、あはは……あたしじゃないよ？」
「じゃあ横線が引かれたその紙は何だ」
「………………………た、宝の地図」
「………そう言えば一回戦、お前達と当たることになったぜ」

気を遣われたー！！

相手が跡部なだけにショック！



「………って、え？一回戦？」
「ああ。一回戦」
「嘘！？じゃあ負けた方全国行けないって事ですかい！？」
「そう言うことになるな」

今年はどっちも全国行けると思ったのに………
こりゃあ気合入れて練習せねばなりませぬな！うんうん

「そう言えば跡部って部長だからシングルス１なの？」
「今の所氷帝じゃ俺が一番強いからな」

おぉ、嫌味だよ。さりげなく嫌味だよ

「じゃあ手塚とかぁ、こりゃ勝てそうだね。うけけ」
「おい待て、俺が手塚に負けるとでも言いたいのか？」
「だって手塚強いもん。メガネだもん」
「言っておくが、俺は負ける気はねぇぞ」
「絶対負ける！」
「そこまで言うなら賭けるか？」
「おう！やったらぁ！手塚が勝ったらあたしに土下座して謝れ！さっきの分のポカリ奢れ！」
「俺様が勝ったらデートだからな」


………………………え？


「マジでか！却下！それ却下！！」
「関東大会は一週間後だ。それまでにせいぜい手塚を鍛えておくんだな」
「やだ！ちょっと待ってよ！やだって言ってんじゃんかー！！」

そんな大事な賭け手塚に任せらんないよ！！
とか言ってる間にあほべもういないし！








部室のドアを開けると、手塚と大石が遅れて部活の準備に取りかかっていた

「手塚ー！！」
「、女子のトーナメント組み合わせは決まったのか」
「はいはいはい、これ見て！」

ホワイトボードに、模造紙で書いた紙を貼り付ける
こんな時にも手伝ってくれる大石はやっぱいい人だ
今度から大石は爽やかたまごから爽やか良質たまごにしておこう（何）

「………何だそれは」
「関東大会までの一週間、手塚専用・手首強化のための特別メニュー！」
「が作ったのか？」
「おうよ！本とか見たり乾に相談したりして作ったから自信あるよ！！」
「へぇ、良かったな手塚」
「………………何か裏があるんじゃないのか？」
「な、何を根拠に言うとるのですか！！」

いきなり図星を突かれたからびびったじゃないかー！
ああどうせチキンさ！どうせ私はスポーツで焼けた焼き鳥さ！ローストチキンさ！
日焼け止めなんかちっとも役に立たないさ！新陳代謝活発さ！！

「だって、第一回戦氷帝と当たるからさ、手塚と跡部が戦うことになったら手首の強化は必要でしょ？」

なんとか破滅って技あるからさ。手首破滅だっけ？
まあとにかく手に当ててラケット落とす技

「今まで通りのメニューだけじゃきっと足りないと思ったから、私なりに何か手伝おうと思ってね」
「そうか………、疑ってすまなかったな」
「いいよいいよ。その代わり絶対勝ってよね！期待してるから」
「任せておけ」
「その前に、ダブルスとシングルス３で終わらせてみせるよ」
「ああ、大石……お前にも期待している」

何か良い雰囲気で終わったのは良いんだけど

賭けに負けるのが嫌で手塚に負けて貰いたくないから特別メニューを作ったんだよねこれ
ああ、痛む！なけなしの良心が痛むよ！

何でもっと私を善人に生んでくんなかったのかしら
あの母親の遺伝子を持ってる時点で無理か？


とにかく関東大会まであと一週間、試合がシングルス１まで行かないように私も頑張らないとなー