「ゲームセット、ウォンバイ・高槻、6−2!!」
「ありがとーございますっ!」
今日は関東大会決勝ブロック
最初の相手は千葉の六角中とかいうとこ
こごうなんだって。それって強いって事なのですかねぃ
「いやー勝ったねぇ!」
ご機嫌で青学側ベンチに戻ると、皆がおめでとう!と祝福してくれた
今回の試合はコートの都合上ミクスドだけ最初にやっちゃうんだって。だから皆見に来てくれてたのですよ
「やぁやぁリョマ子、どーだった?あたしの試合ちゃんと見たん実は初めてでない?」
「………まあまあ、っすね」
「おぉ、クソ生意気な事言ってくれるじゃないですかぃ」
わしゃわしゃと頭を撫でると、ものすごく不機嫌な顔になった
それでこそいじめがいがあるってもんですよねぃ
「えーっと……これまでの事をまとめると………」
「何?試合結果写してるの?」
「………フジコがベストジーニスト賞を取った後グラミー賞を取って、今度はカンヌ映画祭に……」
「何の話!?」
やっぱりフジコのツッコミは心地よいね!たまらんわ!!
「あ、リョマ子!どこ行くの?」
「別に……ファンタ買いに行こうと思っただけ」
「私も行くー!!」
「………奢らないっすよ」
「後輩にたかるほど生活困ってないもん」
つまり困ってたら後輩にだってたかるって事だヨ☆
自販機の前で着くと、早速リョマ子は自販機に120円を入れた
「えーと、ファンタ、ファンタは………」
ピッ
ガコン
「………あれ?今リョマ子押した?」
「……押してないっす」
ふと横を見ると、取り出し口から栄養ドリンクを取り出しているおじいちゃん
「むぅ、やるわね!」
「…飲むんすかね」
「よっしゃ!リョマ子の敵討ちだ!!」
私は財布から百二十円を出して、自販機に入れた
とりあえず飲むのはミルクティー
するとすかさず横から伸びてくる手
「ていっ」
アリタミンAのボタンを押そうとする指を、私の手で妨害する
「負けるかぁ!絶対ミルクティー買ってやる!!」
妨害しつつも午後の紅茶のボタンを押そうとする
べしっ
「あっ!」
ピッ
ガタン
出てきたのはアリタミンA
おじいちゃんにボタンを押す手を軽く叩かれ、その拍子でアリタミンAのボタンを押してしまったのだ
何事も無かったかのように取り出し口からアリタミンAを取り出すおじいちゃん
「………う、うわーん!!!」
「あ、先輩!!」
私はそこから駆け出した
「聖ルドルフの木更津君も元々六角中にいたよね」
「ああ……よく知ってるじゃん不二!」
「うわああああああぁぁぁぁん!!!ふじこぉぉぉぉ!!!」
一メートルほど離れた距離からフジコに飛びついた
その拍子に少しふらつくフジコ
「…いきなり飛びつかないで……雰囲気ぶち壊しだよ……」
「アリタミンのじいちゃんにやられちまったよー!!」
「は?」
顔を後ろに向けるフジコ
「あのね、あのね、ミイラ取りがミイラになっちゃんたんだよ!!」
「ごめん、全く意味がわからないんだけど」
「だからミイラ取りがミイラになってそのミイラが……あれ?」
自分でも意味わかんなくなっちまったい!!
「その子は……?」
「ああ、同じ部活の」
フジコの肩のあたりからにゅっと顔を出すと、誰かがこっちを見ていた
「こんにちは、ちゃん。不二の友達の佐伯です」
くっ!眩しいほどのアイドルオーラ!!
え、笑顔が素敵過ぎる!直視できない!
「フジコ!この人何か危ないよ!アイドルオーラだよ!!」
「え?ってか人を指差さない!失礼だから!!」
「くっそー!喰らわないかんね!小学生バーリヤー!!!」
佐伯さんとやらの前で手をクロスさせてみる
眩しいよー!眩しいよー!!
「サエさん……」
「あ、剣太郎。もうすぐ試合始まるの?」
「そうなんだけど……すごい目立ってるよ。三人とも」
まんまる頭の人に言われて回りを見渡してみると、確かに通り人が足を止めてこっちを見ている
「そりゃあ、ここにオトコマエが二人もおりますもの」
「いや、多分がこうやって僕に飛びついてるから目立ってるんだと思うよ。とりあえず降りて」
フジコがぶん、と身体を捻った
ごしゃっ
「………え?」
「うわー!!!」
私は何故か頭から落下した
「ふ、不二!!一体どういう落とし方したんだよ!」
「いや、僕は普通に……!!!しっかりして!」
「やぁ……なんだい?ぼくはいまてづかにたのまれてじゅうにしょくのくーぴーをかいにいくとちゅうなんだ。さんじゅうろくしょくっていわないあたりがみみっちいよね」
「!漢字変換忘れてる!!」
「なんだよふじこ……あたしは正常一日一善百華絢爛魑魅魍魎唯我独尊粒粒辛苦」
「うわー!もっとおかしくなった!!」
そこから意識がフェードアウツ。
「………んぉ」
目の前に桃とフジコの顔。
桃は好奇心で見てる感じで、フジコは心配そうに見てる
「あ、先輩!大丈夫っすか!!」
「、冷たいスポーツドリンクあるけど飲む?」
「………おぉ、ラコステにジーニスト」
「何でそこまでジーンズにこだわるのさ。僕とジーンズってそんな関連性あったっけ?」
「フジコ、ジーンズの事をデニムと言うのは時代の流れだからしょうがないんだよ。だからズボンて言うのは止めなさい」
「言ってないし!!」
「つーか先輩……俺とラコステも全く関連性が無いんすけど……」
「いいじゃん。これから作ってけば。ポロシャツとか着とけばいいじゃん」
いいじゃんワニ。意外とポロシャツ似合いそうだよ桃
「ミクスドの試合、最初に終わってて良かったね」
「また越前に女装させる事になってたかもしれないっすよ」
うおぉ!もったいねぇ!!
ミクスドの試合後回しになれば良かったのに!
「て事はもう試合終わったの?」
「うん。シングルス3で終わっちゃったから」
「えー……薫ちゃんのシングルス見たかったのに」
「まあ勝ったから良いじゃないっすか」
「うーん……あ、て事は次決勝戦?」
「そうっすね。相手は…」
「あ、待って待って。確かポケットにトーナメント票入れてたんだよね」
ジャージのポケットに入っているものを次々と取り出して、備え付けの椅子の上に乗せる
「えーっと……飴にケータイに、目薬に鏡に櫛に日焼け止め、小銭、クリリンのキラキラカードとー……あ、あったあった」
「、何でもポッケに入れる癖直した方が良いよ。なんかポケット膨張して伸び切ってるし」
「だって便利なんだもん。ポケットは何のためについてるんですかい。物を入れるためでしょうに!!」
「限度を考えなよ」
だって全部すぐ必要になるし、ポッケって便利だし。入れとかないと無くすし
「………あれ?」
「どうしたの?」
「これ、なんだろ?」
ポッケからポロリと落ちてきたのは、レシートくらいの大きさの紙切れ
トーナメント表にしては妙に小さい
「あっとまーく、いーぜっとうぇぶどっと、えぬいーどっとじぇーぴー……」
「メールアドレス?」
「下に電話番号っぽいのも書いてある」
「知ってる人?」
「わかんない。名前書いてないし……電話してみよっかな」
ポッケから取り出した物の中からケータイを取って、メモに書いてある番号をぽちぽちと入力した
プルルル、という電子音が3回鳴って、相手が電話に出た
『もしもし』
「もしもーし、ちゃんですけどあんたは誰ですか」
『あぁ、電話してくれたんだ。俺だよ。佐伯』
佐伯
さえき
サエキ
「あー!あのキラキラ星人!!」
『あはは、俺が?』
「うん。そんでもってさ、何でいつの間にポッケにケータイ番号を入れてたの?」
『君に興味があるからだよ』
「はぇ?」
『不二があそこまで仲良くしてる女の子って初めて見たからさ、もっと話してみたいと思って』
うーん……そんなフジコと仲良さげだったかなぁ
『実を言うとね、不二から色々話は聞いてるんだよ』
「え、フジコから?」
『うん。今まで会った事無いようなタイプとか、テニスがすごく強いとか、あと君の――』
そこでいきなり携帯を取り上げられた
「あり?」
後ろを振り向くと、フジコがいた
携帯を耳に当てると喋り始める
「佐伯!!」
せっかくちゃんがキラキラ星人と話してたのにー
なんかフジコが受話器に向かって怒鳴り声を上げてますよ。珍しきかな。
「あのー……フジコさん?」
「え?あ、ああ…佐伯、とにかくこれ以上余計な事しないでよ」
ピッ
勝手に電話を取って勝手に切りよったぁ!!
「も、もう佐伯には関わらない方が良いよ」
「えー、でも良い人そうだったじゃん」
「とにかく駄目。もう遅いし帰ろうか」
「そだねー、明日からまた部活だし」
テニスバッグを肩に背負って辺りを見回すと、いつの間にか周りにはフジコしかいなくなっていた
皆冷たい!!
「もう暗くなってきたねぇ」
まだ夏なのに薄暗い
て事はもうかなりの時間って事かな
「うち寄ってく?由美子姉さんがに会いたがってたよ」
「また手相見られんのかなぁ」
「の手相って変わってるらしくて見てておもしろいって言ってたよ」
「でもおばちゃんの手料理めっちゃうまいんだよなぁ」
「じゃあおいでよ。今日は冷製パスタだって」
想像しただけでもよだれが!!
「今日バスだったっけ」
「うぃ」
「僕今日自転車だから、後ろ乗りなよ」
「あいよ」
今日のフジコのチャリンコはママチャリだった
ママチャリなのに何ですかこのスタイリッシュなデザインは
がたがたと小さく揺れながらもチャリンコはフジコの家へと向かっていた
ぱーらりーらら、ぱらりらりー♪
「んぉ、メールだわ」
「見てもいいけど落ちないようにしてよ」
「へいへい」
ジャージのポッケから(やっぱりポッケに入れないと無くしそうなんだもん)携帯を取り出してメールを開封
『また今度一緒に遊びたいな。もちろん不二には内緒でね。考えておいてくれると嬉しいな』
どうやら、にはキラキラした人に好かれる性質があるようです(氷帝の部長とか)