空を見上げると、外はもう暗くなってた
それでも次の日に出かけるってのはなんか負けてる気がするのでこのまま駅へ向かいます
時間もわかんないけど、終電に乗れればいいや
なんて適当な気分で出かけたのが間違いだったのかしら
えっとね、英語で言うと
Where is here?
What time is it now?
This neighborhood has poor train service.
That is to say I can't move to here!!
です。
スワヒリ語で言うと……
ごめん。スワヒリ語ってこんにちはがナマステーって言う事しかわかんない
え、何でいきなり英語かって?
帰国子女って設定がクソの役にも立ってないからアピールしてみたんだよ☆
いいよ。ちゃんと日本語で言うよ。
ここどこ?今何時?
ここ電車走ってんの?路線無いよ?
つまりここから私一歩も動けんよ!!
て事。
勢いで飛び出して来たはいいものの適当に電車乗りまくって乗り継いで更に乗りまくってうっかり宿の用意なんかしてないよって事。
あーれー?
でも大丈夫だよ。寝袋あっから
一度寝袋で寝てみたかったんだよねー
もそもそと中に入ってみると意外と快適
こういう寝袋って憧れてたんだ。チャックみっちり上まで閉めるんだ
うん。寝苦しいけど上までぎっちり閉めて寝てやる。鮭色ピンク(世間一般ではサーモンピンクとも言う)な寝袋だからでっかいたらこに見えるかも
いいね。中途半端な感じがたまらなく良いね
えーと、何時に起きようかな。始発がいいな。携帯のアラームセットすんの五時くらいでいっかな
明日起きた時に最初に来た電車で向かいますかね
おやすみー
…
…
もぎゅっ
「…ぅも?」
「うわっ!」
誰かに踏まれたような感じがして、目が覚めた
目の前が真っ暗だよ。チャック開けようかな
「むぉ、眩しい!!」
「わ、人間がおった!!」
「何かね君。私に何か用かね」
寝袋に入ったまんま立ち上がる
顔だけ出てるからたらこ●ューピーみたいになってるかも
「えーと、姉ちゃん?ここで何しとるん?」
「電車待ってる」
暑苦しいから寝袋から出ようかね
「こんなとこで寝たら危ないで」
「今更だね。もう一夜を明かしたよ」
えーと、チャックチャック
ジッ
「おぎゃー!布噛んだー!!」
「えっ!?」
「やべぇチャック下りない!もしかして私一生たらこのままか!?やだよそんなの!少年!下ろすの手伝って!!」
「わかった!わかったからたらこのまま踊るの止めんかい!!しかも上手いな!妙に器用で気持ち悪いわ!!」
きもちわるいってゆわれた!!
「あー助かった。危うくジャ●に訴えられる所だった」
「何を広告するつもりやったんや何を。俺に突っ込みさせるなんてけったいな姉ちゃんやな」
「だべ。よく言われるさ。『お前なまらおかしい』って」
「何で北海道弁やねん」
「いいじゃん。大●洋とか頑張ってんじゃん」
寝袋をくるくると畳んでリュックに詰め込む
無理矢理詰め込んだけど大丈夫!何でか知んないけどこのリュック大きさの割にめちゃめちゃ物入りまくるから!!
多分四次元とか新世界とか新世界の神とかに繋がってるんだよ。あれ、デス●ート?
「てか君は何でこんなとこにいんの?」
「あー、ちょっと下見に行こう思てな」
「下見?」
「俺、テニスの全国大会出んねん。ほれ」
男の子は袋からラケットを取り出して私に見せた
「ほんとだ。私もテニスやってんだけどさ、君は何処の人?」
「四天宝寺」
「知らないなぁ…どこにある中学だ?」
「大阪や。ここ何処やと思てんねん」
「わからん。とりあえず南南って向かってってるから」
私がそう言うと、男の子は訳がわからんと言った感じで首を捻った
「ちょっとね、九州に行こうと思ってるの」
「九州!?」
「そう、九州。なんか急に会いたくなった…知り合い?みたいなのがいて」
知り合い?チームメイト?メガネ?みたいな?
「そうかぁ。無事に会えるといいなぁ」
「そだねー。怪我の治療しに行ってるらしいから生きてはいると思うけど」
「俺も早うコシマエに会うてみたいわ」
「腰前?」
腰は横にあるもんじゃないの?腰の前にはへそがあるんでないの?へそ前じゃないの?
「おう、なんかそういう名前の強い奴が全国大会に出るらしいねん」
「へー…知らんかった。腰前なのに試合出来るんか」
「……意味わからんで」
私もよくわかんなくなっちまったい!
「腰前だかへそ前だか知らんけどとにかくそういう人が出るんだねー。早く会ってみたいな」
「全国大会出るんか?」
「うん。うちの男テニも全国行ける事になったからね」
「あれ?女テニと違うん?」
「私ミクスドの選手だから」
全国大会出れるかわかんないけどさ!ランキング戦やってないからさ!
「したら試合会場で会うかもな」
「そだね。あ、名前なんて言うの?」
「俺か?遠山金太郎や。金ちゃんでええで」
「金ちゃんかぁ。よろしく!」
私が手を差し出すと、金ちゃんも笑顔で握手してくれた
「姉ちゃん、名前は?」
「。青春学園三年。よろしくねー…ん?」
ガタンガタンと音がしたかと思ったら、南に向かう電車がやって来た
「じゃあ私行くね」
「おう。全国大会で会おうな!」
「試合できたらいいね。じゃあ、またねー!!」
止まった電車に乗り込み、窓から外を見ると、金ちゃんは私の向かう方向とは反対方向に走り出した
いいねぇ。出会いと別れが旅の醍醐味だよね
お土産話も出来たし。良かった良かった
リョマ子にへそ前君の話したら喜ぶかもしんないなぁ
…ん、へそ前……へそ?みみ?ちこつ?
…………まあいっか。