今日は珍しく朝7時に目が覚めた。


目玉焼きとサラダともずくとプリンを3個平らげてテニスラケットとスポドリとレギュラージャージをラケットバッグに詰め込み、履き慣れたスニーカーを履く

部活は朝9時から。2時間後が待ち遠しい



部活の時間まで待ちきれず足取り軽くテニスコートまで向かうと、着替えを終えたばかりらしいフジコと高槻が部室から出てきた

私は嬉しさのあまり勢い良く高槻に飛びついた

「やっほー!フジコと高槻!久しぶりぃ!そうやっていつも2人でいるから夢小説にも関わらず読者にほんのりホモ疑惑とかかけられんだぞコノヤロー!
「その声…か。3日ぶりに顔出したかと思ったらいきなり子泣きじじいみたいにくっついてきやがって」
「気分的にはピッ●ロさんの重し的なアレね。地面めり込むやつ」
多分ドラ●ンボール世代ほとんどいねぇぞ、ここの読者

ショック!!みんな完全版買うといいよ!!

打ちひしがれてたら高槻に振り落とされた。ひでぇや!!

「って、なーんか寂しいと思ったらフジコ!あんたツッコミサボってんじゃないわよ!君を構成するものの7割はツッコミってのわっ!?」

いきなしフジコに肩をつかまれたよ。いやんばかん!!

!どこ行ってたの!?怪我は大丈夫!?3日も連絡取れないから心配で心配で…!!」
「お、おいフジコ落ち着け。がぐったりしてるぞ

前後にがくがく揺さぶられて軽く酔った。視界ふらふらだぞー

「で、気分転換できたわけ?」
「あれ、知ってたん?」
「お前女テニ選抜の時も同じような事やってただろ」
「…やーな事覚えてるねぇ。ま、とにかく心機一転頑張る所存でございますよ?」

私がへらっと笑うと、高槻が頭をぐしゃぐしゃと撫でてきた

「なら良い。あのクルクルパーにやられっぱなしはおもしろくねぇからな」
「クルクルパー…言わずもがな、あのモジャモジャだよね」
「時間ねーけど…ま、やれるだけやってみっか」
「おーい!不二ぃー!高槻ぃー!聞ーて聞ーて、大ニュースだにゃ!」

エージが校舎の方から大きく手を振りながらこっちに走ってきた

「今保健室でおチビが…って!?」
「やーやーやー!久しぶりエージ!会いたかった!その現実にいたら確実ドン引きされそうなうっとい猫語も懐かしく感じるわー
「おかえりそのいちいち回りくどくかつ急角度からえぐってくる嫌味な喋りもヒロインなのに自らヒロイン要素を捨てる態度も久しぶりだにゃー
「………もしかして2人、仲悪い?

フジコが苦笑いをしながらそう聞いてきた

「にゃはははは、そーんなことないない!」
「そーだよ。私達給食の時に液体ミルメークが出たら相手の机の上で中身減らさず牛乳に入れて氾濫起こさせるくらいに仲良し!
「そうそう。給食のヨーグルトのフタを相手の机の上で勢い良く開封して机に飛び散らせたりみかんの皮から汁飛ばして目潰し狙うくらい仲良し!
「うふふふふふふ」
「にゃははははは」

がっしと組んだ肩にぎりぎりと爪を食い込ませる。こんにゃろめ!!


「はいはい。お前らが仲良しなのはよーくわかった。で、チビがなんだって?」
「あ、そうだ!今可愛い女の子と二人きりなんだよ!!」



「まじでか―――!!!!」
「うんうん。おチビに会いに来たんだって!」
「それ彼女じゃね?もしかしなくても彼女じゃね?」

いやーもーリョマ子もキョーミ無さそうな顔してやることやってんじゃん。このこの!!

「俺が見た感じでは彼女一歩手前って感じだったにゃー」
「付き合ってねぇの?」
「多分…女の子の方はおチビの事好きそうだったけど」
「んっふっふ。こーなったら私が出るしか無さそうだねぇ」
「………え?」

フジコが『何言ってんだこいつ』と言う目で私を見た。
慣れたよ。もう慣れっこだかんね!

「ここに『リョマ子とプリティーガール、おもしろそうだからいっそくっつけちまえばいいんじゃね?作戦』を慣行することを誓います!!」
「ここまで本音がだだ漏れの作戦名も珍しいな」
「っていうか、本人の意思はまるで無視…?」
「私にかかったらどんな男女もパパッと一気にLOVE涙色!まさしく『好きよ好きすぎて意味がわかんない』状態!!」
「DE●.DIVAて!!」
「青春学園の山●兄弟と呼ばれたこの私にお任せあれ!くっつけるーにゃっ!!」
●上兄弟関係無ぇー!!

高槻のツッコミも久しぶりすぎて懐かしく感じるわ!なんか一年ぶりみたいな!三日しか経ってないのに!

「…復活早々フルスロットルだね、……」
「おうともさ!頑張るよ!!」


私達は猛ダッシュで保健室に向かい、戸の隙間から覗いていた乾と桃を見つけた。

「首尾はどーだね二人とも!!」
「あ、先輩!今保健室入ったばっかっすよ!!」

私は桃の肩によじ登り、ドアの隙間から中を見た

ベッドに寝ている女の子とその横で椅子に腰掛けるリョマ子


「おー!ナイス!ナイスポジション!!行け!リョマ子!お前は男だ!!」
、ちょっと落ち着いて…」
「そこだ!手握れ!上に乗れ!乳揉……」
教育的指導!!

フジコが桃に蹴りを入れて、桃が前に倒れるとその桃に肩車してもらってた私はドアのへりにがごんと頭をぶつけた。

「痛ぇー!!!てめっ、何すんだコラ!!」
!静かにしてないとおチビに気づかれるにゃ!」
「つか、こんだけ騒いで気づかないほうがどうかしてるっすよ」
「あれ?」

保健室の方を見ると、リョマ子が呆れたような顔でこちらを見ていた

「何やってるんすか、先輩達」
「え、えへへへへへ。もーすぐ部活始まるぜリョマ子!じゃ、ずらかるぜ野郎共!!」
「あ、ちょっと先輩!!」

リョマ子の制止の声を無視して、私はテニスコートに向かって逃げた



「せいっ!」

思いっきり力を込めたトップスピン。うーん、調子良かばーい。
今なら苦手なコースもがんがん行けそうだね!

「………先輩」
「おう、なんだい越前君。かっこいい先輩にコーチングしてもらいたいのかなー」
「いや、そのかっこ何すか」

ちなみに私の今のかっこはフジコから強奪した男テニレギュラージャージに伊達眼鏡。髪はまとめて頭にタオル巻いて隠してます。

「これでどー見ても男テニ部員だべ!」
「何でそんなかっこしてんすか」
「いや、近くに女の子いたらやきもちやくべ。勘違いすんべ」
「は?」

リョマ子は訝しげな視線をこちらに向けた

「なんかよくわかんないっすけど…何で男のかっこすんのに眼鏡がいるんすか」
「あー、これはちょい手塚を意識してみた。眼鏡キャラというポジションが一つ空いたからさんがそこを取っちまおうと」
「……訳わかんない。とりあえず眼鏡とって「おーい手塚!乱打の相手してくれー」
「はいはいはーい。了解でーす」

高槻が向こうで手を振っているので、しゅばっと手を上げて返事した

「……何で先輩が返事するんすか」
「言ったべ。手塚を意識してみましたって。だって女の名前じゃバレるしさぁ」
「え、て事は」
「部長の手塚でっす☆」

ウインクして決めポーズ

「手塚!早くしろって!!」
「そうせかすんじゃないってーの!」

ぽかんとしているリョマ子を置いて高槻の方へ走った

「やーやーお待たせ!」
「今日、偵察の数がすげぇ多いらしいぜ。めいっぱいアピールしとけ」
「らじゃっ!くにみつ頑張るっ!」

高槻が笑いを堪えながら私の頭とわしわしと撫でた
普段から手塚にぼろくそにされてるもんね!そりゃ今の状況はおかしくてしょうがないよね!

「でもさすがにばれないかにゃ。見た目違いすぎるし」
「意外とばれてないみたいだよ。名前は知ってても顔は知らないんじゃないかな」
「そうそう。今日は私を部長と思ってくれぃ!今日はこの『手塚ボード』はいらないね」

私は等身大手塚ボード(腹部分から二つに折り畳み可)をコートのすみっこにしまった

「やっぱりそれ、のだったんだね…」
「いないと寂しいかと思いまして。あ、ちなみに眼鏡の右レンズを押すと『部長の手塚です』って言って、左レンズを押すとものすごくイイ声で『イケメンビィィームッ!!』って言うよ」
それ作品違うし!同じ声だけどそれマイ●ロディだから!!
「もえろもえろっ、もえろもーえろっ、ウーサーミーミかめーんよー♪」
歌わないであげて!手塚の威厳を保つためにテニプリ創作内でその歌はタブーだから!!
「てへっ、今日の9232はちょっぴりおちゃめだぞっ☆」

偵察の人たちがさっきのリョマ子みたいにぽかーんとした顔でこっちを見ていた。
あっは、バレたら手塚に弄り殺されるな。

「…多分、今日一日で手塚のイメージ総崩れだね」
「ものすごい早さで全国に広まるだろうな……」






そして、私がこれでもかというほどの手塚アピールをしまくり、今日の部活が終わった。



「おうフジコ、おつかれー」
「あれ、帰らないの?」
「うん、高槻待ち」
「いつも一緒に帰ってたっけ?」
「いんや。彼女でもないのに高槻と一緒に帰るようなアホはいないべー」

刺されるよ確実に!元カノとかに!

先輩」
「あれ、リョマ子だ。彼女は?」
「多分もう来ないっすよ、あの人」
「はぁ!?なして!?さてはあんた喧嘩したな!?もしくは泣かせたな!?追え、追うんだリョマ子!データ上なら間に合います!

おーつかっれさーんーばー♪

「……先輩、ちょっとこっち来て」
「へ?え、ちょっと、私高槻に用事があって」
「待たせとけばいいじゃないっすか」

おいおいおい、仮にもお前の先輩だぞ高槻は

「いいよ、高槻が来たら言っておくから」
「いやいやいや!いいってば!私ここで高槻待つからさ!!」
「不二先輩、先輩借りてくっす」
「拉致!?拉致ですかこれェェェ!!」

助けてェェ!下克上されるぅ!!

つかリョマ子力持ちっ!引きずられていくー!!



「……僕も、そろそろ本気出していかないといけないかな」













結局校舎裏まで連れて来られました。決闘の定番じゃないか!

「んだよー。最近リョマ子強引じゃね?そんなんだからあの女の子にもフラれ「先輩、気づいてるっすよね」
「何が」
「あの人が俺の彼女じゃないって」
「……んー、なんとなくはね。いくらツンデレな性格っつったって明らかに彼女に取る態度じゃなかったし」

保健室で見た数分で分かるくらいにリョマ子はそっけなかった。

「違うって分かったのは、それだけじゃないっすよね」
「………それだけだよ」
「先輩、俺結構諦め悪いんすよ」
「あはは。限りある青春を無駄にしちゃいけないよリョーマ君」
「無駄かどうかまだわかんないっすよ。俺は結構可能性あると思ってるんすよね」
「本人が無駄だって言ってんのにどこに可能性があるんだか」

めんどくさそうに頭を掻くと、リョマ子が私との距離を詰めた
セーラーの襟をぐっと掴まれ、顔を近づけられる

先輩がそういう態度でいるなら、これから俺、がんがん攻めてくつもりなんで」

5センチ程の距離でそう言い放ち、ニヤッと笑みを浮かべる。黒い!なんか黒い!!

「じゃ、今日はこれで帰るっす。それじゃ、また」

今日は、とまた、を強調して言い、リョマ子は校門の方へ歩いていった
リョマ子がいなくなったのを見た後、ずるずるとその場を座りこんだ

「…うぁー…なんなんだほんとにもー!!!!!」

思わず叫んじまったよ!つか叫ばずにいられねぇ!!

「おい、
「んだコラァ!!今心の中が取り込み中だコラァ!!!」
「……お前が呼んでたっつーから来たのに何だその言い草は」
「え?ああ、なんだ、高槻か」

私がそう言うと、高槻は不服そうに私の頭をどついた。痛ェ!!

「で、俺に用って何だ?」
「あ、そうだった!えっとね、これから三日間それぞれ自主連入るでしょ?」
「あー…そういやそういうスケジュールにだったな。それがどうした?」
「その三日間、私にちょうだい!」
「……は?」